元の出典: antarctica.gov.au
オーストラリア南極局(Australian Antarctic Division、AAD)の南極モニタリング計画責任者Patricia Miloslavich氏は9月7日、タスマニア大学ホバート校で開かれたオーストラリア南極研究会議で、約400人の研究者に南大洋の30年にわたるモニタリング結果を発表した。併せて、砕氷船Aurora AustralisとRSV Nuyinaが蓄積してきた航海データ、および2027年から始まる4件の新たな研究航海も明らかにした。
2隻は合計379回の航海を行い、約250万キロを航行して、1億3,700万件の測定データを収集した。
Aurora Australisが1991年から2020年にかけて行った観測では、南緯50度以北と以南の気温が上昇した一方、海面水温は南緯50度以北でのみ顕著に上昇した。Miloslavich氏は「Aurora Australisが30年間観測してきたこの南大洋の海域では、気温が上昇していることが分かります」と述べた。
モニタリングチームは連続プランクトン記録計(Continuous Plankton Recorder、CPR)も使って動物プランクトンの変化を追跡した。この技術は1931年から世界の海域で使われており、オーストラリア南極局は1991年に南大洋へ導入した。データからは、動物プランクトンの個体が徐々に小型化していること、一部の種が南方へ移動していること、翼足類が減少していることが示された。こうした変化は、気候変動下にある南大洋の食物連鎖の基盤部分に影響を及ぼす。
RSV Nuyinaは「ウェットウェル」(wet well)技術を採用し、海水中で生物試料を完全な状態で採取できる。トロール作業に頼るAurora Australisと比べ、試料の完全性が高い。
Miloslavich氏によると、2027/28年度から2029/30年度にかけて4件の航海を実施する。100万年前の氷床コアの掘削、Mawson地域でのオキアミと生態系の評価航海(Krill and Ecosystem Assessment、KaKE)、そして海氷縁辺域(Marginal Ice Zone、MIZ)の海氷状況調査航海である。東南極生態系・CCAMLR・気候・海洋航海(East Antarctic Ecosystems-CCAMLR, Climate and Ocean、ECCO)は2029/30年度に実施する予定で、海洋保護区の設計に活用する。
Miloslavich氏は、このモニタリング体制「Antarctica InSync」が、国連「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」(UN Decade of Ocean Science for Sustainable Development)、南極研究科学委員会(Scientific Committee on Antarctic Research、SCAR)、および各国南極計画管理者評議会(Council of Managers of National Antarctic Programs、COMNAP)から承認を受けていると指摘した。最初の新航海となるKaKEは、2027/28年度に出航する予定だ。
出典:オーストラリア南極局、2026年9月7日。
よくある質問
オーストラリア南極局は今回、どのような研究成果を発表しましたか?
オーストラリア南極局(Australian Antarctic Division)の砕氷船Aurora Australisが1991年から2020年にかけて行った観測では、南緯50度以北と以南の気温が上昇した一方、海面水温は南緯50度以北でのみ顕著に上昇した。動物プランクトンのモニタリングからは、個体の小型化、一部の種の南方移動、翼足類の減少も確認された。
オーストラリア南極局には今後、どのような航海計画がありますか?
2027/28年度から2029/30年度にかけて、4件の航海が計画されている。100万年前の氷床コアの掘削、Mawson地域でのオキアミと生態系の評価航海(KaKE)、海氷縁辺域の海氷状況調査航海(MIZ)、そして海洋保護区の設計に向けた東南極生態系・気候・海洋航海(ECCO)である。
RSV NuyinaとAurora Australisでは、採取方法にどのような違いがありますか?
RSV Nuyinaはウェットウェル技術を採用し、海水中で生物試料を完全な状態で採取できる。一方、Aurora Australisはトロール作業に頼るため、試料が損傷しやすい。